更新日:2021年9月29日
大阪市人事委員会は9月29日、市長と市会議長に対して2021年「職員の給与に関する報告及び勧告」を行いました。月例給は公民給与がほぼ均衡しているとして改定を行わず、一時金については0.15月分引き下げなどとするもの。また、人事評価制度で下位区分評価を受けた職員のモチベーションを下げない効果的な制度の構築や定年の段階的引き上げに伴う環境整備にも言及。長時間勤務の是正に関連して「業務量に応じた適切な要員の確保にとりくみが必要」との認識も示しました。
本年4月時点の月例給の公民較差は0.02%(72円)。民間が公務を上回ったが、較差が極めて小さいことから、月例給は改定見送りとなりました。保育士及び幼稚園教員についても改定は無し。一時金は0.15月分を引き下げ年間4.30月とし、人事院勧告に準じて期末手当で引き下げるよう勧告。本年12月の年末一時金から引き下げとなります。
市労連は、一時金の2年連続引き下げは、コロナ禍においても市民の生活と生命を守るため、職務に奮闘する職員の努力が考慮されず残念な結果と表明。また、引き下げ分を期末手当で調整することは、会計年度任用職員の処遇悪化につながると問題視。2015年の独自給料表策定時に給与水準が引き下げられた保育士及び幼稚園教員についても、その職務の重要性や人材確保の観点などから、早急に水準回復に言及するよう求めました。
人事委員会は、給与・人事管理制度等に関する課題として「給料表の構造等」に言及。「最高号給に達した職員が一定数存在し、かつ増加している」と示し、執務意欲の維持・向上につながる方策を継続的に検討することを任命権者に求めました。市労連は給料表と昇給制度の乖離が大きく、早急に抜本的な見直しが必要であり「検討」ではなく総合的な人事・給与制度の構築に向けた言及を求めました。また、定年の段階的引き上げに伴い、キャリア研修や教育訓練の充実など高齢層職員が力を発揮できる環境整備や、長期的視点での業務執行体制構築に言及したことにも、55歳昇給停止の課題などを含めた制度を検討するよう人事委員会へ求めました。
人事評価制度では下位区分の評価を受けても頑張った職員がモチベーションを下げることのないような制度設計など、より効果的な制度構築について言及。市労連は、絶対評価点が期待レベルに達しているにもかかわらず、相対評価が下位区分となるなど、公平・公正性、客観性を著しく毀損している現状を指摘。評価結果を勤勉手当や昇給号給数に反映するなど、職員間に格差を生じさせるのではなく、一人ひとりの能力や各職場事情等を考慮した制度構築が必要であるとしました。
さらに人事委員会は、長時間勤務の是正についても言及。一昨年4月の上限設定以降、コロナ禍の影響もあり時間外勤務が大きく増加している状況への対応として、業務の見直しとICT活用による業務の効率化とともに、「業務量に応じた適切な要員の確保にも併せてとりくむ必要」との認識を示しました。市労連は年度途中の兼務発令などから職員不足は明らかとして、早急かつ確実な要員確保にむけた人事委員会の対応を強く求めました。
そのほか人事委員会は、仕事と家庭の両立支援のため、男性職員の育児休業取得の促進、不妊治療のための有給休暇新設、会計年度任用職員に適用される制度改善など、妊娠・出産・育児等に関連する制度を一体的に整える必要があるとして、実情に合わせた制度見直しを任命権者に求めています。