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更新日:2021年9月1日

2022年度要員問題
―人員マネジメント(市政改革プラン3.0)はもはや破綻状態―
市職本部が申し入れ 非常時をも想定した配置を強く求める

 市職本部闘争委員会は8月31日、市側人事室長以下との団体交渉に臨み、「2022年度要員確保に関する申し入れ」を行いました。

 交渉で市職本部は、コロナ禍の厳しい現場実態にもかかわらず、例年と同じく財政状況や社会情勢の変化などに終始する市側の姿勢を強く非難。現場の工夫を含めた事務の簡素化は限界としたうえで、非常時においても職員の勤務労働条件を確保しうる要員配置が必要との認識を改めて示しました。また、新型コロナウイルス感染症拡大により急増する業務についても言及。緊急時とはいえ、明確に業務を整理することもなく、昇任による欠員や想定外の異動、安易な兼務、応援職員派遣などが年度当初から繰り返し行われてきたことに対し「極めて遺憾」と表明しました。

保健所の超勤実態 人事当局の責任追及

 加えて、本年4月以降も50人近い職員が月80時間以上の超過勤務を行っている健康局の現場実態を問題視。労基法36条にもとづく労使協定、いわゆる「36協定」の範囲を逸脱する事態が恒常化していることに対して、人事当局の責任を厳しく追及しました。さらにこうした実態を踏まえ、また近年相次ぐ災害対応などを想定すれば、大阪市総体として人員不足が明らかになるなか、市側が固執する「市政改革プラン3.0」や「人員マネジメント」はもはや破綻していると指摘。早急に考え方を見直すよう市側に求めた。

 また、「定年年齢の段階的引き上げ」によって2023年度から制度完成の31年度までの間、退職者が2年に一度しか生じないことになるが、将来にわたる安定的なサービス提供体制のためにも、計画的に新規採用者を確保することを市側に強く求めました。

各要求項目に対する市側の認識も質す

 そのほか、法令等による基準配置、免許職員等の適正な要員配置、生活保護実施体制や4条任期付職員をはじめ、再任用短時間勤務職員の応募者の減少、大規模災害や感染症等の公衆衛生にかかる行政対応など、各項目に対する市側の課題認識も質しました。

 最後に新年度の業務執行体制が、超過勤務の増大や年次有給休暇の未取得日数の増加など労働環境の悪化の上に成り立つものではなく、適正な労働条件のもとに築かれなければならないことを改めて強調し、人事室としての責任ある対応を求めて交渉を終えました。

2021 年 8 月 31 日

大阪市長 松井 一郎 様

大阪市職員労働組合
執行委員長 金子 俊雄

2022 年度要員確保に関する申し入れ

 市行政の円滑な推進や市民サービスを担保する観点から、行政業務に見合う執行体制の確立は必須であり、業務執行体制の変更は勤務労働条件に大きくかかわるものであると認識している。

 大阪市では「市政改革プラン 3.0」において「市重点施策の推進にかかる増員等を除き、原則として増員しない」としているが、コロナ禍による就職氷河期への対応のためとして、職員採用数を追加増員したにも関わらず、厳しい超過勤務実態が浮き彫りとなり、職員数にかかわるプランの考え方は市民の健康や生命を守る観点からすると破綻が生じている。

 要員配置に関わっては「仕事と人」の慎重な関係整理に基づき行われる必要があり、職員の勤務労働条件に大きく影響することから、交渉事項として誠意を持って対応するよう求めるとともに次の通り申し入れる。

1. 2022 年度事務事業の執行体制について、職員の勤務労働条件を確保するために必要な要員を配置すること。また、執行体制の改編などを行う場合については、「仕事と人」の関係整理の内容について検証するに足る情報を提供すること。

2. 恒常的な超過勤務実態が生じている部門が固定化しており、数年来全所属の平均超過勤務時間数も大幅な改善が見られない状況である。超過勤務時間数の上限設定や、年次休暇取得の促進が、職員の負担とならないよう「仕事と人」の関係整理の うえで、適正な要員配置はもちろんのこと、従前の手法を見直し、実効あるとりくみを行うこと。また、今後想定される事業等について、安易な兼務を行わないこと。

3.定年年齢の段階的引き上げに伴い、2023 年度から 31年度にかけて 2年ごとに定年退職者のない年度が生じることから、単純に職員定数のみに固執することなく、職員の年齢構成を十分に考慮した長期的な採用計画を検討し、毎年度若年層の新規 採用者数を確保すること。とりわけ、技術の継承が不可欠な部門については、業務に支障なきよう、若年層を必要数確保すること。

4. 法令などにより要員の基準が定められている職場に対し、基準配置はもちろんのこと、すべての労働条件が維持できる適正な要員を確保すること。

5. 免許職員等の専門職にかかる総枠について、業務執行に支障のないよう対応し、 職員の勤務労働条件に変更が生じる場合は協議を行うこと。

6. 生活保護業務等、複数回の任期に渡り同一職務を任期付職員として任用している部門について、4 条任期付職員の定義である1一定の期間内に終了することが見込まれる業務、2一定の期間内に限り業務量の増加が見込まれる業務、の要件に当てはまらないものは、実態的な本務化を含め、具体方向性を示すこと。

7. 「会計年度任用職員」は、常勤職員の職務内容・職責と異なる必要があり、常勤職員が担うべき業務には常勤職員を配置すること。

8. 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、大阪市保健所において過労死ラインを超える超過勤務実態が発生するなど、市民の健康や生命を守る的確な行政サービスを提供する上で、大阪市としての要員不足が明らかとなった。現在公表されている2022 年度の新規採用予定者数ではそうした実態を解消することが困難であり、採用予定者数の追加を求める。大規模災害や感染症等の公衆衛生にかかる行政対応については、業務の継続性を重視した恒常的で実効性のある体制を確保するとともに「非常時」にも耐えうる体制を確保すること。また、被災自治体への支援についても「仕事と人」への影響を検証し、勤務労働条件に変更が生じる事項は協議を行うこと。

9. 安易な事務事業の廃止・縮小は、市民サービスに大きな影響を与えることから慎重に検討すべきであり、「行政サービスへの最先端のICTの活用」や「経営形態の変更」、「委託化」などといった課題については、職員の勤務労働条件に大きく影響を及ぼすことから、交渉・協議を行うこと。

以 上