更新日:2008年5月1日

防災のまちづくり現地調査報告(中)
-「路地尊」は路地の安全を守るシンボル

高い防災意識、住民のつながりは濃密

 「路地尊」は、避難経路となる路地の安全を守るシンボルとして、防災用具庫である1号基が85年に設置されました。2号基から雨水を貯留して災害時の水源を確保するタイプとなりました。
 現地では、「一言会」の阿部さんと高原さんに案内していただきました。「一言会」は、防災生活圏モデル事業を契機に結成された地元有志グループに、6町会が加わって構成されています。

菜園が併設された「有季園」(路地尊3号基)

菜園が併設された「有季園」(路地尊3号基)
「一言会」阿部さん(右)と高原さん(左)から説明を受ける

「『はっとほっと』(路地尊5号基)」を見学する参加者

「『はっとほっと』(路地尊5号基)」を見学する参加者

 一行はまず菜園を付設した「有季園」(路地尊3号基)に。同園には、9トンの雨水貯水槽が埋設され(雨水は隣接する民家から集水)、手押しポンプで汲み上げます。通常は隣接した菜園の水やりに利用し、「防災まちづくり瓦版」の掲示板もある。土地代、修復費用等はモデル事業として区が負担しました。

 途中、民家の敷地内につくられた街角の「路地琴」(埋設されていない水琴窟)を見学しつつ、「はっとほっと」(路地尊5号基)へ。そこでは道路に面した三角形の小さなスペースを利用して地下に貯水槽(3トン)を設置。雨水は隣の駐車場の屋根から集める。ここにも手押しポンプがあります。子どもが使って壊れたが、それもメンテナンスと考えているとのこと。スペースでは地域の祭りも行われています。「有季園」と同様、防災だけでなく、日常は他の用途に使えることが重要だと感じました。

 屋外見学終了後、「一寺言問集会所」で説明を受けました。水戸街道沿いの宿場町だった同地区は、関東大震災や空襲で焼け残ったがゆえに、老朽住宅と狭隘な路地が残り、東京都でも危険な密集市街地ワーストワンに選ばれました。しかし、だからこそ防災への意識は高く、住民のつながりが濃密だという。これらの点は、今里地区と全く同じです。

 なお、同集会所は、区所有の施設だが、建設計画から管理まで、「一言会」が一貫して関わり(建設費は区が負担)、モデル事業終了後も「一言会」が施設管理をしています。当然、雨水貯水槽を付設しています。

  そこに「一言会」の中心メンバーである佐原滋元さんも合流し、「メディアに取り上げられると住民の意識は高まります。ケーブルTVは時間をずらして複数回放映され、様々な人に見てもらえるので特に有効です」「地域の防災を担う後継者難が課題です。『一言会』を仲立ちに若者を受け入れる雰囲気をつくりたいと思っています。アートイベント開催を機に、NPO『向島学会』がつくられ、空き家を使ったイベントや、商店街の空き店舗へのアーティストの入居などで若者が集まるようになりました」「特に女性は地域団体で活動することが難しいので、『一言会』のような組織が肩を押して、まちづくりのなかに女性が参加しやすいようにして欲しい」「活動に中学生が参加して欲しい。彼らは道に詳しく、機動力があります。ただし、勉強や部活で忙しいので、何らかのしかけが必要です」など、興味深い話が聞けました。(つづく)