更新日:2013年3月5日

大阪市会で市立環境科学研究所の地方独立行政法人化に関する条例が可決される

 3月1日、大阪市会において「地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所定款の制定について」「大阪府市地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所評価委員会の共同設置に関する協議について」の2つの条例が可決成立しました。

 地衛研の独法化についてはこれまで全国的にも例が無く、より慎重に検討すべきです。地方独立行政法人への移行は、職員にとっては非常に大きな勤務労働条件の変更が予想され、組合員の生活と権利を守るため市職は今後も全力でとりくみます。

抗議声明

 2013年3月1日、大阪市会本会議において、「地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所定款の制定について」「大阪府市地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所評価委員会の共同設置に関する協議について」の2条例案が可決成立した。

 これらの議案は、「大阪市立環境科学研究所」と「大阪府立公衆衛生研究所」の統合と、一般地方独立行政法人化(非公務員型)を目的としたものであり、可決によって2014年4月の発足に向けた制度的な条件整備が行われたことになる。

  我々は、行政サービス向上のための、統合や独法化の手法については否定しないまでも、(1)公権力行使と一体となっている「地方衛生研究所」を全国に先駆けて一般型地方独立行政法人とすることの妥当性、(2)近年高い関心が寄せられている環境問題に関する大阪市域内における研究・観測の拠点が、統合・独法化と同時に廃止されようとしていることへの危惧、(3)当事者であるべき現場の組合員に対する身分保障や勤務労働条件について十分な意見交換や意思の疎通が行われていないこと、などについては大きな問題を持つものであり慎重に対応すべき課題であるとの認識のもと、とりくみを進めてきた。今回、そうした疑問点や危惧、取扱いの不十分性などが解消されないまま議案が可決されたことは、まことに残念としか言いようがない。

  そもそも、「大阪市環境科学研究所」は、国の要綱に基づいて、公衆衛生の向上及び増進を図るための「都道府県又は指定都市における科学的かつ技術的中核」の地方衛生研究所の役割を担うべく設置されてきた。

 地衛研の独法化についてはこれまで全国的にも例が無く、北海道や東京都等で検討はされたものの「行政の健康危機管理対応、公権力行使と一体」という理由で独法化はされていなかった。鳥インフルエンザやダニ媒介の感染症など新たな感染症のリスクが指摘される中、仮に新型の感染症が発生した場合、検査結果を基にした公権力の行使については、検査結果への責任の所在が問われ、公権力の行使の基盤となる検査と公権力行使は一体であると考えるべきであり、行政からの独立性が強く要求される一般型独立行政法人の対象とすることについては、より慎重に検討すべきであると考えている。

 また、「大阪市環境科学研究所」の独自の機能として、この間、多くの成果を上げてきた大阪市域内の「環境」問題に関する研究・観測の拠点については、統合・独法化と同時に新たな組織には引き継がない方向性が示されている。昨今、PM2.5などの新たな環境問題が注視され、また、ヒートアイランド現象や、放射性物質の拡散問題など環境問題に対する関心と不安が高まる中、長年の研究実績と分析・研究を行ってきた研究所「環境」分野を無くしまうことは、市民の安全・安心の上で大きな懸念を招くこととなる。市側は、環境測定・研究などは民間業者でも可能としているが、PM2.5などについての継続的な研究を行っている民間の研究機関や大学はほとんど無く、商業ベースの観測分野では対応できない課題や、データの精度、連続性などについても懸念を抱かざるを得ない。さらに、こうした「環境」の分野について廃止された後の、具体的な対応策が示されていないことについても疑問を呈さざるを得ない。

 さらに、研究所で連日業務に当たっている当該の組合員に対しては、身分変更を伴う大きな勤務労働条件の変更が想定されるにもかかわらず、市会への議案提案を行うことのみを義務的に関係支部に対して協議要請を行ったのみであり、具体的な勤務労働条件の変更については協議の要請すら行われていない。言うまでも無く、我々としては具体的な勤務労働条件の提案無くして、いかなる検討も判断も困難であり、こうした当局姿勢は、市側自らが定めた「労使関係に関する条例」に照らしても極めて問題を持つものであるとともに、2003年6月に地方独立行政法人法が国会で議決された際にも「政府及び地方公共団体は、本法律の施行に当たり、次の事項について配意すべきである。」とされた付帯決議で「二 地方独立行政法人化に当たっては、雇用問題、労働条件について配慮して対応するとともに、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通を行うこと。」とされた内容に対しても、著しく整合性を欠くものであり、我々としては強い不満の意を明らかにせざるを得ない。

 いずれにしても、関係条例の可決により来年の新組織の発足に向け、我々のとりくみも新たな局面に向かわざるを得ないが、当該支部・所属間での課題の整理と解決に向けた前向きな交渉・協議が十分に行われることが必要であり、市職本部としても当該支部をはじめ、自治労大阪府本部や関係先との連携を深めながら、組合員の生活と権利を守るためにとりくみを進めていく決意である。

2013年3月4日

大阪市職員労働組合
執行委員長 比嘉 一郎