更新日:2008年9月24日

市側、「経費削減(素案)」を一方的に公表
職員数、人件費に言及

大阪市労連、「組合との交渉ルールを無視」と抗議
大阪市職、支部長会で認識と今後の扱いを確認

 大阪市は9月4日、「経費削減の取組について(素案)」(以下、素案と略)を発表した。今後2年間で688億円を削減、2005~2010年度の5ヵ年でトータル2442億円の削減をめざすとしています。

 具体的には、2009~2010年度の職員数削減見込みとして約2400人(うち一般会計第1部分、約1300人、2005年度比・約▲18%)を計上。合わせて「人件費削減の取組」として、2009年4月から2017年度までの9年間にわたる全職員の給料5%カット・管理職手当の10%カット、超過勤務手当の節減・住居手当の見直し等の削減措置を講ずるとしています。

 これに対し、大阪市労連は8月29日にマスコミ報道を受けて抗議を行うとともに、9月4日には市労連見解を公表しました。

 市労連見解では、「市労連に対しても、また、関係単組に対しても、一切、交渉も協議も行われていないだけでなく、そもそも文書の位置づけや性質、素案が何時の段階で成案となるのか、労働組合との交渉をどの段階で行おうとしているかなどは何ら触れられておらず、極めて問題であり、到底納得できるものではない」と批判。

 また、給与カットに対しては、「長期にわたる給与カットは、市側の最高責任者である市長の任期すら遙かに越えるものであり、職員の労働条件に責任を持つべき給与支払い義務者である当局として、全く無責任」との認識を示すとともに、「素案の段階であるとしているが『5%』『平成21年4月から平成29年度まで』などの期間も明らかにされており、勤務労働条件については労働組合と交渉を行うべきルールを無視したものであり、断固として抗議」するとしています。

 大阪市職は9月10日に支部長会を開き、「現時点での認識と今後の取り扱いについて」を確認しました。素案については、「物件費と人件費の抑制を個別の局・区役所内の事業縮小や廃止によって実現しようとするものであり、今後の市行政トータルのビジョンが不在」「今後の市政のあり方を示すことなしに経費削減と人員抑制のみを目的とした対症療法的な対応は、結果的に市民サービス低下を招きかねず、また、職員の労働条件の維持や安全衛生の確保の観点からも問題を持つもの」と批判。組合員の労働条件にかかる問題はあくまでも交渉と合意による決着が前提であり、市労連に結集して取り組みを進めていくことを確認しました。

 また9月30日には、帝塚山大学の中川幾郎教授を招いて学習会を開き、素案に対する今後の取り組みの認識共有を図ることを決めました。

【支部長会】
2008.9.10

「経費削減の取組について(素案)」に対する
現時点での認識と今後の取扱いについて(案)

 9月4日、大阪市は、「経費削減の取組について(素案)」(以下、素案と略)を発表しました。

 その概要は、(1) 職員数削減の取組 (2) 人件費削減の取組 (3) 受益の負担と適正化、施設・制度の効率的な運営、に大別され、今後2年間の削減見込みとして経常経費・投資的経費・特別会計繰出金を合わせて688億円を削減し、2005~2010年度の5ヵ年でトータル2,442億円を歳出削減し、当初の削減目標である2,250億円の歳出削減を達成するとしています。また、素案の公表とともに、同日からパブリックコメントを実施しています。

 「職員数削減の取組」では、業務の廃止・縮小、民間委託化、嘱託化・再任用職員の活用、業務の効率化などにより2009~2010年度の職員数削減見込みとして約2,400人(うち一般会計第1部分、約1,300人、2005年度比・約▲18%)が計上されています。また、そのことと合わせ「人件費削減の取組」として2009年4月から2017年度までの9年間にわたる全職員の給料5%カット・管理職手当の10%カット、超過勤務手当の節減・住居手当の見直し等の削減措置を講ずるとしています。さらに2011年度以降も職員数の削減に取り組むとしており、その結果2005年度から2017年度までの総人件費の削減額累計として約5,500億円を見込んでいます。

 一方、いわゆる物件費の削減においては、「受益の負担と適正化、施設・制度の効率的な運営を図るもの」と分類されるもの24億4500万円を含めて、2年間で約201億円の歳出削減を図るとしています。

市職としての現時点の認識

  1.  今回の素案は、給与の一律カットや住居手当の見直しなど、組合員の賃金・労働条件に直接関わる課題を含んでおり、当然、労使交渉による合意が前提です。しかし、素案は市労連・市職に対して、事前に十分な情報提供や正式提案・交渉も行われないまま発表されており、市側の姿勢は極めて問題であると言わざるを得ません。

     素案は2011年度以降に見込まれる1,200億円に上る大幅な収支不足への対応について、「29年度までの収支不足については『次期行財政改革計画』策定の議論を待つ必要があるが、29年度までの人件費抑制により、23年度以降の収支不足への対応にも目途が立った」との考えが明らかにされています。しかし、その具体的内容は、平松市長によって再開されたごく少数の新規採用を除き、採用凍結を基調とした人員削減と給与カットの継続による総人件費削減によって解消しようとするものに過ぎません。大阪市行政のあり様や組織の将来に対する理念を抜きに、こうした人員削減が継続されれば、まさに大阪市の組織は崩壊の危機に瀕するといわざるを得ません。

     これまでも大阪市は、組合員の給与抑制について、単年度ごとに市労連との交渉を行いながらも、2002年度から2005年度にかけて、給料カットを行うとともに、2003年には定期昇給の延伸などを行ってきました。 しかし、地方公務員の給与制度は、労働基本権制約の代償措置として人事委員会による給与勧告制度によって公民給与を均衡させることを原則としており、こうした措置に対しては、人事委員会からも勧告に際して遺憾の意が表明されてきた経過があります。
     人事院・人事委員会の給与勧告制度が、政治による度重なる介入により、既に制度的限界に陥っていることは明らかですが、自治体当局が財政状況を理由にして、長期にわたって一律給与カットを行うことは、勧告制度の全面的な否定であり、人事委員会の設置や権限を規定した地方公務員法にも抵触するものと言えます。

     また、今回示されている9年間にもわたる長期の給与カットは、市側の最高責任者である市長の任期すら遥かに越えるものであり、職員の労働条件に責任を持つべき給与支払い義務者である当局が、自らその責任を放棄するものです。

  2.  今回示されている素案は、総じて、物件費と人件費の抑制を個別の局・区役所内の事業縮小や廃止によって実現しようとするものであり、今後の市行政トータルのビジョンが不在であると指摘せざるを得ません。今日の大阪市の厳しい財政状況の中で経費削減の必要性は認めるとしても、大阪市行政や組織の将来に対するビジョンの上に立った「選択と集中」に基づく「見直し」として検討されるべきであると言えます。今後の市政のあり方を示すことなしに経費削減と人員抑制のみを目的とした対症療法的な対応は、結果的に市民サービス低下を招きかねず、また、職員の労働条件の維持や安全衛生の確保の観点からも問題を持つものです。特に、今回の素案の内容には、高齢者施策を始めとして福祉施策や奨学金制度などの教育施策の見直し案も多く含まれており、市民生活に与える影響も十分に勘案した上で結論付けることが肝要です。

     一律的な予算や要員の削減のみによる財政再建は、深刻な市民サービス低下を招くとともに、公務職場の疲弊と市民生活の荒廃をもたらし、結果として財政危機の克服にもつながりません。まず、求められているのは大阪市政改革の明確なビジョンの提示であり、ビジョンの実現に向けた改革のグランドデザインの提示です。市職は、財政危機の克服とともに市民生活に責任のもてる市政改革の全体像の提示を求めて、とりくみを強めることとします。

     また、組合員の労働条件にかかる問題はあくまでも交渉と合意による決着が前提であり、市労連に結集しつつ取り組みを進めます。

当面の取り組み

  • 有識者の助言なども求めながら、あるべき市政改革についての考察を深めるとともに、素案に示された事務事業の見直しについて、市民サービスへの影響など政策的な観点から、各支部に分析を要請し、これらを取りまとめた「『 素案』 に対する市職見解(仮称))」を作成し、公表することとします。
  • 職員数の削減の課題については、新年度要員交渉での決着を図ります。

以上