掲載日:2006年5月17日

生活保護実施体制にかかる団体交渉

市側 「本日は、本市財政上の大きな負担となっており「大阪市都市経営会議」等においても最重要課題のひとつとして論議されている、生活保護実施体制の充実強化にむけた本市の基本的な考え方について皆様方へご提案申しあげたい。
 まず、生活保護の現状についてであるが、長引く景気の低迷により、失業率は高い推移を示すとともに、特に本市においては高齢者世帯が多いこと、離婚率が高いことなどが大きな要因となり、生活保護受給世帯数は平成10年度以降大幅な増加を続けており、生活保護受給世帯、被保護人員、保護率について、政令市の中でも最も高く、全国平均の3倍を超える状況になっている。
 また、国においては三位一体改革の名のもとに国庫負担補助率を現行の4分の3から3分の2に変更することが検討され、他の都市とともに国への再考をもとめた結果、据え置かれる決着を見たところではあるが、一方で、昨年12月1日に、厚生労働大臣・全国知事会会長・全国市長会会長・内閣官房長官の連名により、「生活保護の適正化について、国は、関係者協議会において地方から提案があり、両者が一致した適正化方策について速やかに実施するとともに、地方は生活保護の適正化について真摯に取り組む。その上で、適正化の効果が上がらない場合には、国と地方は必要な改革について早急に検討し、実施する。」との確認書が交わされたところである。したがって、本市としてもより一層の保護の適正実施に真摯に取り組む必要があるとともに、新規・有効求人倍率の改善などもあることから、この時期に何らかの適正化方策を速やかに実施することが喫緊の課題となっているところである。
 本市の生活保護実施体制については、これまで、最低生活の保障と自立の助長という生活保護制度の目的を効果的に達成するため、被保護世帯を高齢者世帯と一般世帯に分け、それぞれの特性に応じた処遇を行ってきたところである。
 この考え方は、限りある人材を有効活用する意味においても、非常に有用なものであったと認識しているところである。
 また、平成16年度に就労支援事業のモデル実施を行い、平成17年度からは、各種の自立・就労支援事業を新規・拡充実施するとともに、自立支援担当係長を全区配置するなど、この間、生活保護行政の充実に取り組んできたところである。
 これらの事業をより有効に推進していくためには、ケースワーカーがこれらの事業を効果的に活用し、被保護者を自立・就労にむけ、適切に指導していくことが必要である。
 そのためには、生活保護実施体制の充実強化は必要不可欠であり、新たな方策として、高齢者世帯の基準を60歳から国基準の65歳に引き上げるとともに、一般世帯の配置基準を80:1から70:1に強化し、就労指導を強めてまいることが必要である。具体には、平成18年度のできるだけ早い時期に、まず高齢者世帯の年齢基準の変更を行い、平成19年度以降に、一般世帯の配置基準の変更を行い、それに伴う必要な要員を配置してまいりたいと考えている。
 現在、今般の充実・強化の取り組みにかかる要員の確保にむけては、人材の有効活用の観点から、保健・医療・福祉の分野に精通した技能職員を活用してまいりたいと考えているので、よろしくお願い申し上げる。」

組合 「市側から、生活保護実施体制にかかわっての提案があったところである。
 生活保護については、高齢社会の進行、とりわけ、小泉構造改革が進める市場万能の競争主義のもとで、所得分配、貧富の格差拡大など「格差社会」が生起しており、景気は回復基調といわれているが、市民生活にその実感はなく、大阪市においても生活保護受給世帯の増加が続いている。
 また、医療費や年金保険料などの社会保障費の負担増や増税も想定されている状況にあり、今後、生活保護制度への依存がさらに強まることが考えられる。
 国においては、昨年、生活保護制度の改正が検討され、生活保護基準のあり方や自立支援の見直しが行われたが、抜本的な制度改革は行われていない。
 生活保護制度は、憲法25条に規定された国民の生存権を保障する最後のセーフティネットであり、いうまでもなく責任ある実施体制の確立が不可欠であると認識するところである。
 これまで大阪市の生活保護行政については、バブル崩壊以降の景気の低迷や雇用動向の悪化、高齢化の進展という社会経済情勢のもと限られた予算と人員の中で、様々な現場の工夫と努力によって、大阪の実態に即した実施体制を確立し、現場組合員が支えてきている。
 今回、生活保護実施体制の充実強化にむけた新たな方策として説明されたが、こうした経過がある中で、今後の生活保護行政のあり方にかかわり、就労指導の強化などの業務執行体制をどのように構築しようとしているのか考え方を明らかにされたい。
 生活保護実施体制の充実の方策として言われた、高齢者世帯の基準を60歳から国基準の65歳に引き上げることについては、職場混乱をきたさぬ市側の責任ある対応が必要であるとともに、一般世帯の基準を「80:1から70:1」に変更していくことについては、実施体制にもとづく必要要員を確保することが体制充実の大前提であり、着実かつ安定的に生活保護行政を実行していくことが市側の責務である。生活保護実施体制についての市側としての考え方を明らかにされたい。」

市側 「ただ今、委員長より、生活保護実施体制に関わって、指摘を受けたところである。
 私どもとしても、これまで本市の特性等を鑑み、日々区役所で働く現場職員の様々な工夫と努力によって本市の実態に即した実施体制を確立してきた経過については、十分認識しているところである。
 業務執行体制の構築にあたっては、先ほども申し上げたとおり、高齢者世帯の基準を60歳から国基準の65歳に引き上げるとともに、一般世帯の配置基準を80:1から70:1に強化し、職制責任のもと、今回変更する配置基準に基づくケースワーカーを確実に配置することで就労指導を強め、生活保護行政の充実に努めてまいりたいと考えているところである。
 したがって、本市として早急に新体制を構築する必要がある喫緊の課題であるとの認識から、まずは、高齢者世帯の年齢基準の変更を平成18年9月より実施し、残る一般世帯の配置基準の変更を平成19年度以降に実施したいと考えているところである。いずれにしても、生活保護実施体制の構築については、市として責任をもって対応していきたいと考えている。」

組合 「市側から、生活保護実施体制については責任を持って対応していくとの回答があった。しかし、自立・就労にむけた生活保護業務のあり方についての考え方が明確に示されておらず、今回の市側案が生活保護業務の充実にむけ実効あるものとなるのか不明であり、今日的に求められている生活保護実施体制の強化に本当につながるのか危惧せざるを得ない。
 いずれにしても、配置基準の変更にもとづく生活保護実施体制の課題は、現場における今後のあり方の議論をしないまま、一方的に内容変更することは困難である。したがって、現場における十分な解明・検討、協議を行うこととし、本日の提案内容については、現場を抱える関係支部との交渉、協議として取り扱うこととし、市側の誠意ある対応を求めるとともに、あらためて回答することとする。」

市側 「生活保護実施体制の充実強化に伴う具体的な勤務労働条件に関する事項については、労使合意に向け、十分協議する必要があると認識しているところである。指摘のある個々具体の業務内容にかかわっては、その業務を実施・把握している各所属・支部間において交渉を行うほうが、効率的・効果的であると考えられることから、具体の交渉は各所属に委任してまいりたいと考えているのでよろしくお願いしたい。」

組合 「只今、市側から支部・所属交渉に委任するとの回答があった。市側として誠意ある交渉を尽くすことを再度申し上げ、取り扱いについて確認することとする。」

以上

平成18年5月
総務局

平成18年5月総務局生活保護実施体制の充実強化に向けた基本的考え方
1 実施体制充実強化について

・生活保護事業をより有効に推進していくためには、実施体制の充実強化は必要不可欠な状況である。
・具体的な取り組みとしては、

(1) 高齢者世帯の基準を60歳から国基準の65歳に引き上げる。
(2) 一般世帯の配置基準を80:1から70:1に強化する。

 以上2点の取り組みを行うことにより、被保護者等の自立・就労に向け適切に指導する体制を構築したい。

2 実施時期と必要要員数

・実施時期は平成18年度の年度途中のできるだけ早期の実現を目指し、実施体制の構築を図る必要があり、(1)は平成18年9月から、(2)は19年度以降に実施することとしたい。
・体制強化の必要要員としては、(1)により約90名、(2)により約60名を予定している。(ケース数の増に対応する要員については別途配置予定。)

3 必要要員の具体的確保策

・要員の確保については、人事委員会の選考により事務職員となった保健・医療・福祉の分野に精通した技能職員を活用する予定。

4 年次計画
年次計画
年度 内容 必要要員 対応要員
(技能職員)
18年度
(18年9月)
(1) 高齢者世帯の基準の引き上げ 約90名 約90名
19〜20年度 (2) 一般世帯の配置基準の強化 約60名 約60名